各国首脳ら タックスヘイブンの企業通じ金融取引か | NHKニュース
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脱税や犯罪で得た資金を隠すマネーロンダリングの温床とも指摘される租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの企業を通じて各国の首脳や首脳と関係が深い人物が金融取引をしていたことなどが、パナマの法律事務所から流出した内部文書で明らかになり、問題がなかったか調査を求める声が上がっています。
これは調査報道を行う各国の記者で作る団体、ICIJが租税回避地いわゆるタックスヘイブンの国の1つ、パナマの法律事務所の内部文書を入手したとして3日、発表しました。
それによりますと、内部文書にはタックスヘイブンにある21万4000の団体の情報が記載され、分析した結果、各国の首脳や首脳経験者12人を含む政治家など140人がタックスヘイブンを利用して金融取引などを行っていたということです。
このうち、北欧のアイスランドのグンロイグソン首相は2008年のリーマンショックで自国が金融危機に陥るなか、夫婦で株主に名を連ねるタックスヘイブンのイギリス領バージン諸島の企業を通じて、国内の銀行の債券を数百万ドル(日本円で数億円)保有していたということです。
また、ウクライナのポロシェンコ大統領やサウジアラビアのサルマン国王などもタックスヘイブンを利用していたと指摘しています。
このほか、ロシアのプーチン大統領の古くからの友人らも、2008年から2013年にかけバージン諸島に設立した企業を通じて、少なくとも20億ドル(日本円で2200億円)に上る金融取引を行っていたということです。
タックスヘイブンでの取り引きを巡っては、脱税や犯罪で得た資金を隠すマネーロンダリングの温床になっているとも指摘され、各国の首脳や周辺による取り引きに問題がなかったか、調査を求める声が上がっています。
各国首脳らは反論
今回の報道を受けてアイスランドの議会では、野党4党が4日、グンロイグソン首相に対する不信任決議案を提出し、議会の前では市民が首相の辞任を求めてデモを行いました。不信任決議案の採決は5日以降に行われる見通しですが、議会では与党2党が過半数を占めており、決議案が可決されるかどうかは不透明です。
一方、グンロイグソン首相は4日、ロイター通信の取材に対し「私は常に国民の利益を最優先にしてきた」と述べるとともに、妻も適正に税金を払ってきたとして、辞任する考えはないと強調しました。
ウクライナのポロシェンコ大統領は、租税回避地タックスヘイブンを利用していたと伝えられたことについて、インターネット上で「資産の運用はコンサルタント会社に一任していて、関与していない」と述べました。そのうえで、「私は資産を申告し、税金を支払ってきた」と述べ、脱税などは行っていないと主張しました。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は、プーチン大統領の古くからの友人らがタックスヘイブンの企業を通じて金融取引を行っていたと伝えられたことについて、「今回の報道は大統領個人とロシアの政治的な安定を標的にしたものだ」と述べ強く反発しました。そのうえで、ことし9月の下院選挙と再来年の大統領選挙を前に意図的に情報が流され、プーチン大統領を中傷して政権基盤に揺さぶりをかけるねらいがあるという見方を示しました。
フランス スペインは捜査開始
フランスの捜査当局は4日、声明を発表し、文書で指摘されたフランス人について脱税の疑いがあるとして、捜査を開始したと発表しました。
また、この発表に先立ち、フランスのオランド大統領は4日、記者団に対し「すべての情報が分析され、必要な捜査や裁判が行われるだろう」と述べ、問題がないか追及すべきだという考えを示しました。そのうえで、各国の記者で作る団体、ICIJがパナマの法律事務所の内部文書を入手したことについて、「危険を冒しながらも国際社会にとって有益な役割を果たした内部告発者は保護されるべきだ」と指摘し、文書の告発者が不利益を被ることがないよう訴えました。
また、スペインの当局も4日、声明を発表し、内部文書で指摘されたスペイン人について、マネーロンダリングの疑いがあるとして捜査を開始したことを明らかにしました。
文書流出の法律事務所が声明
内部文書の内容が報じられたパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」は4日、声明を発表しました。
この中で事務所は「メディアの報道は私たちが提供するサービスを不正確に表現し、世界の金融市場における私たちの役割をねじ曲げて伝えている」としています。そのうえで、「私たちは常に国際的な取り決めやアメリカの法律に従い、法人化した会社が税金逃れや資金洗浄、それにテロ活動への資金提供など、違法な目的に使われていないことをできるかぎり確認している」として違法な行為はしていないと強調しました。
(一定期間経過後に消えてしまうようなニュース記事を掲載しています。)