(ニュース記事)日本の食料自給率、低い低いと言われるが…実は

 農林水産省が発表した2013年度のカロリーベースの食料自給率は4年連続で39%と、低い水準にとどまった。

 政府はこの数字を20年度までに50%に引き上げることを目標に掲げており、達成には遠い。だが、この指標がどこまで実態を表しているのか、という点では疑問の声もあり、冷静な議論が必要といえる。

 食料自給率は、国内消費のうち、国産の農水産物でどの程度賄っているかを示すものだ。政府は、カロリーを基に計算したものを政策目標の一つにしている。

 しかし、輸入飼料のエサで育てられていることが大半の牛や豚、鳥の肉や卵などは、いくら国内で育てたとしても、国産には含めない。例えば、卵の自給率は、重量を基に計算すると95%だが、カロリーベースでは10%前後に下がってしまう。鶏肉も、重量ベースの自給率は66%なのに、カロリーベースでは10%弱になる。

 肉は野菜などに比べてカロリーが高いため、いくら野菜などの自給率が高くなっても、家畜の飼料を輸入に頼っている以上、全体の食料自給率は大きく改善しない仕組みといえる。

 海外でカロリーベースの自給率を出しているのは、韓国、スイス、ノルウェーなど少数派だ。「政策目標として使うのは不適切。国が国民の関心を引こうとして考え出したものでしかない」(川島博之・東大准教授)との批判もある。

 一方、生産額ベースで出す食料自給率もある。これは、国内で生産された食料の金額を基に計算する。例えば、国内で生産された牛肉の価格から、輸入飼料の価格を差し引いたものが、国内での牛肉生産額になる。飼料の値段は高くないので、これで計算すると、カロリーベースよりも数値が高くなる。13年度の食料自給率は65%と、過去最低になったものの、カロリーベースの数値より高かった。

 政府は、20年度までに生産額ベースの数値を70%に上げることも目標にする。ただ、達成のメドは立っておらず、農水省の審議会は、引き下げを含めた目標の見直しを検討している。

日本の食料自給率、低い低いと言われるが…実は : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20140808-OYT1T50011.html?from=ytop_top

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