(ニュース記事)世界一高価なコーヒー豆コピ・ルアクの陰でジャコウネコの虐待

世界一高価なコーヒー豆はどうやって作るのか? – GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20160729-most-expensive-coffee/

世界一高級なコーヒーは、ジャコウネコのフンから採れるコーヒー豆「kopi luwak(コピ・ルアク)」から作られます。酸味が少なく独特の香り高いコピ・ルアクを巡っては、動物愛護の観点から問題が指摘されています。

The world’s most expensive coffee is a nightmare for the animals who produce it — Quartz
The world’s most expensive coffee is a nightmare for the animals who produce it

インドネシアやフィリピンなどに生息するジャコウネコは、コーヒーの実を食べる習性があります。コーヒーを栽培する人にとってはコーヒーの実を荒らす害獣だったジャコウネコですが、食べたコーヒーの種は消化されずに排泄されるため、現地の人たちはジャコウネコのフンからコーヒー豆(コピ・ルアク)を取り出して、きれいに水洗いしたあと焙煎して、コーヒーとして飲んでいました。

ジャコウネコのフンから採られたコピ・ルアクは、ジャコウネコの腸内の酵素の働きによって発酵して独特の香りがつくため、現地の人たちにたしなまれていたのですが、目先の利く人がコピ・ルアクの味わい深いコーヒーを特別なコーヒーとして販売したところ、世界中の人から愛される高級品として取り扱われるようになり、最盛期にはコーヒーカップ1杯あたり100ドル(約1万円)は下らないという高値が付くようになりました。

本来、コピ・ルアクは野生のジャコウネコのフンを集めて採取するため、手間と時間がかかる貴重品として高値で取引されていましたが、コピ・ルアクが高く売れると知り、ジャコウネコを飼育してコピ・ルアクを採取する人が現れ始めました。

人工飼育されるジャコウネコは、おしなべて狭く薄暗いゲージの中で飼われます。さらに、ジャコウネコはコーヒーの実が主食ではないにもかかわらず、大量のコピ・ルアクを採取したいため、コーヒーの実ばかりをエサとして与えられるとのこと。このため、コピ・ルアク採取用に飼育されるジャコウネコは、ストレスから自分の足をかじるという自傷行動に出てしまい、そのケガや過度なストレスが原因で、多くがすぐに死んでしまうそうです。

フィリピンやインドネシアで「世界一高いコーヒー」として旅行者たちに飲まれて、SNSで世界中に紹介されるコピ・ルアクですが、「旅行者たちはコピ・ルアクのためにジャコウネコが奴隷のように飼育されていることを知りません」と、野生動物研究者のニール・D・クルーズ氏は現状を嘆いています。

近年は、コピ・ルアク全体の約80%が人工飼育されたジャコウネコから採取されたもので、コピ・ルアクの価格が下がるという恩恵を受けるコーヒー愛好家がいる背景には、動物虐待の現実があるというわけです。このような実態を知って、コピ・ルアクの取り扱いを取りやめるコーヒーの小売業者も徐々に現れているそうですが、動物愛護団体が発行する雑誌「Animal Welfare」の調査報告では、インドネシアにはコピ・ルアク採取目的でジャコウネコを飼育する農園が少なくとも16件あるとのこと。インドネシアを中心として、フィリピン、タイ、ベトナムなど東南アジアでは、「香り高いコーヒー」を求める人間の欲求のために、多くのジャコウネコが命を落としています。

(一定期間経過後に消えてしまうようなニュース記事を掲載しています。)

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