(ニュース記事)朴大統領、福祉政策“大失敗” 無償保育制度が「園児虐待」遠因に

朴大統領、福祉政策“大失敗” 無償保育制度が「園児虐待」遠因に (1/2ページ) – 政治・社会 – ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150302/frn1503021140001-n1.htm

 韓国で保育園児の虐待が大きな社会問題になっている。園児を殴ったり、床に落としたり、針を刺すなどして逮捕される保育士が後を絶たない。責任は暴力を振るう保育士本人にあるものの、問題の遠因には、朴槿恵(パク・クネ)大統領が人気取り戦略として公約した無謀な福祉政策にあるという。支持率最低を更新しながら就任3年目を迎えた朴大統領。失政続きでいまや与党・セヌリ党からも批判が渦巻いている。現地事情に詳しいノンフィクションライター、高月靖氏がリポートする。

 保育士による保育園児への暴行-。韓国で昨年から、この問題が急速に深刻化している。今年1月中旬には仁川市の保育園で撮影された暴行現場の映像がネットで公開され、韓国社会を驚愕させた。

 「ただ殴るというレベルではありません。4歳の幼児が思いきり頭部を横殴りにされ、体ごと吹っ飛んで床にたたきつけられていました」(現地日本人ジャーナリスト)

 保護者の届け出で警察は保育士の女(33)を逮捕。女は「キムチを食べ残したので無理に食べさせたら吐いたので殴った」と供述している。韓国与党・セヌリ党の金武星代表は「セウォル号沈没事故以来の衝撃」と述べて驚きを隠さなかった。

 だが、保育園での園児暴行は、今に始まったことではない。

 「昨年12月にも、南西部の麗水市で撮影された女性保育士の暴行動画が出回っています。同じ月には仁川市で、47歳の女性保育士が頭の高さから幼児を床に投げ飛ばすなどした事件がありました」(先の日本人ジャーナリスト)

 今年1月にはまた東北部の原州市で、女性保育士(41)と女性院長(57)が園児への暴行で書類送検された。この保育士は、4歳の園児の頭を拳で繰り返し殴りつけた。その日が誕生日だった園児が、自分の許可なくお祝いのお菓子を友だちにあげたというのが理由だ。2月に入ってもソウル近郊の南楊州市で、複数の園児の手足を針で刺しけがを負わせた疑いで、40代の女性保育士が警察の捜査を受けている。

 韓国保健福祉部(厚生労働省)が発表する保育園での虐待件数は、2008年の61件から13年には202件にも伸びている。

 一体、韓国の保育園で何が起こっているのか。

 “主犯”に挙げられているのは、朴大統領の福祉政策だ。朴大統領は12年の大統領選で「5歳までの子供の保育は政府が責任を持つ」と公約。13年3月から、全ての0~5歳児に対する「無償保育」制度をスタートさせた。

 「本来なら所得や就業状況などで枠を設けるべきでした。しかし公約通り無条件で一律無償としたため、専業主婦が子供を預けにくる事態となったんです」(同)

 そのため現場は深刻な受け皿不足となり、資質に乏しい粗悪な保育士や管理責任者が大量量産されたわけだ。

 保育士の資格制度も不備だらけで、「簡単な科目を修了して申請すれば、95%以上が合格すると言われています」(同)。仁川市で捕まった33歳の女は、インターネットの講座で資格を取得していたという。

 セヌリ党内で台頭する反・朴勢力は、朴大統領の無責任な選挙公約が混乱を招いたと批判。与党の分裂でレームダック化も囁かれる朴大統領にとって、新たな頭痛の種となった。

 この問題を打開しようと朴大統領は1月下旬、仁川市の「模範的」とされる国立保育園を視察。対応への熱意を国民にアピールした。だがこれがまた裏目に出てしまう。

 「視察は模範事例を通じて解決策を探るとのふれこみで、多くのマスコミを引き連れていました。ところがその1週間後、同じ代表者が運営する別の国立保育園でまた虐待が発覚したんです」(現地メディア関係者)

 この事件では「居眠り」を理由に3歳の園児に氷を押し当てたなどの容疑で、女性保育士(43)らが書類送検された。

 無償保育制度の泥沼化と、続発する乳幼児たちの被害。朴大統領の失政は底なしの様相だ。

(一定期間経過後に消えてしまうようなニュース記事を掲載しています。)

同じカテゴリーにこんな記事もあります。