(ニュース記事)韓国で妙な方向に流れている朝日新聞・慰安婦の誤報問題

 慰安婦問題をめぐる朝日新聞の誤報問題は韓国では妙な方向に流れている。朝日が虚偽だったと認めた“作家・吉田清治”の証言や、初公開として記事化した元慰安婦の告白内容の虚偽など事実問題の方には関心を示さず、逆に「日本で朝日新聞がいじめられている」という話がしきりに伝えられている。

 マスコミには韓国政府に対し「知恵を出して朝日新聞を助けるべきだ」と要請(?)する論評まで登場した(8月9日付、朝鮮日報)。韓国政府に支援されたのでは、逆に朝日新聞はますます苦境に陥るだろうというのが日本の現状なのに。韓国にも「ひいきの引き倒し」みたいなコトワザがあったように思うが。

 こうした相手の国の状況理解についてのスレ違いは、世論をおかしな方向に誘導することになりかねない。お互い注意する必要があるが今回、日本側で“吉田証言”の虚報が世論の関心を集めているのは、慰安婦問題で「日本はどこまで責任を負わなければならないのか」という核心に関係しているからだ。

 20年を超す日韓の慰安婦問題において吉田証言は、日本軍が直接、組織的に韓国の“田舎”(済州島)から多数の女性を無理やり連れて行ったという唯一の資料になっていた。

 たとえば韓国政府がこれまで発表した唯一の公式資料である1992年7月の「日帝下軍隊慰安婦実態調査中間報告書」では、日本軍による組織的な強制連行の唯一の例として引用され、「(日本軍は)19世紀アフリカにおける奴隷狩りに似た手法の人狩りで慰安婦をあつめるということもした」と記されている。

 その後、韓国政府の最終報告書は出ていないし、韓国マスコミや支援団体でも似た例は明らかにされていない。

 それほど貴重(?)な吉田証言がウソだったとなれば、慰安婦問題を日本の国家犯罪として国家的・法的責任を追及しようという韓国側にとっては大きな根拠を失うことになる。

 そのせいだろうか、今度は「吉田証言の虚構性は河野談話(93年8月)の前から韓国ではウソと分かっていた」とし、89年に済州島の新聞が現地住民の証言からデタラメと伝えていると言い出した(9月29日付、朝鮮日報)。つまり吉田証言は慰安婦問題の現状とは関係ないというわけだ。

 しかし吉田証言のウソと地元新聞の否定報道を初めて明らかにしたのは、現地調査した歴史家、秦郁彦氏であり92年4月の産経新聞だった。

 これを受けて韓国の中央メディアが「吉田証言は虚偽」と伝えたところはどこもない。

 「韓国では前から分かっていた」という弁明はウソである。

 その証拠に、つい2年前の2012年9月6日付の朝鮮日報は、野田佳彦首相(当時)が「慰安婦強制連行の証拠はない」と発言したことを非難する署名入り論評で「強制性がなかったと意地を張る日本人たちよ、この本を読め」とし、韓国で翻訳されていた吉田清治の著書の内容をそのまま詳細に紹介している。

 韓国ではいまなお吉田証言は厳然と生きているのだ。朝鮮日報も訂正や取り消しをしていない。ましてや世論はそう信じている。

 子供たちは学校教育や絵本などを通じ、慰安婦とは昔、日本軍が逃げまどう村の少女たちを手当たりしだいにひっ捕まえてトラックに乗せて連れて行ったという“吉田ストーリー”で教え込まれている。

【緯度経度】韓国で妙な方向に流れている朝日新聞・慰安婦の誤報問題 (1/2ページ) – 政治・社会 – ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141020/frn1410200700001-n1.htm

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