(ニュース記事)ナッツ・リターンだけじゃない!? やりたい放題の韓国財閥ファミリーに国民ブチキレ

 1月30日、韓国で「ナッツ・リターン事件」の2回目の公判が行われた。全身を高級ブランド服で身を包んでいた財閥の令嬢、チョ・ヒョナ被告はこの日、グリーンの拘置服を着せられ、法廷に姿を表した。事件発生から逮捕、起訴までスムーズに進んだのは、朴槿恵政権の思惑があるといわれている。

 就任から約3年。韓国・朴槿惠政権が掲げてきた政策目標に、“経済民主化”がある。経済の「民主化」とは聞き慣れない言葉だが、最大の目的は、一握りの財閥が経済を支配する歪な構造の改革だ。

 経済民主化の最大の争点となっている財閥改革では、富の独占を緩和し、財閥中心の国家経済を是正していくというのが大まかな内容だ。だが、韓国の「保守の本丸」である朴政権や与党セヌリ党が、左寄りの経済政策をやむをえなく打ち出すのには理由がある。そのひとつは、財閥ファミリーに対する韓国国民の不満と不公平感だ。 
暴力、売春……財閥2世、3世がやりたい放題
 大韓航空の副社長だったチョ・ヒョナ被告が起こしたナッツ・リターン事件は、韓国国民の非難の的になり、世界中で嘲笑の種となった。加えて国家全体の8割以上の富を握るとされる韓国財閥の実態も、世界中に報じられた。過去10年間で、韓国の10大財閥の半分の企業がなんらかの刑事事件を起こしており、有罪となった人数は9人。また、韓国公正取引委員会が指定する49財閥のうち、約32%に当たる16財閥の人物たちが、刑事事件で起訴、有罪判決を受けている。その犯罪には、脱税や暴行などあらゆるものが含まれる。

 チョ・ヒョナの弟であるチョ・ウォンテ大韓航空副社長は、過去に70代の女性に暴言と暴行を加えた罪で警察に立件されている。また、ハンファグループのキム・スンヨン会長は、次男がバ-の店員に殴られたと言う理由で、ボディーガードを数人引き連れ暴力的な報復行為を行った。SKグループのチェ・テウォン会長の親族にいたっては、自社本社前で一人でデモを行っていた労働者を野球バットで殴打。あまつさえ、数十万円を「殴り代」として投げてよこし、さらに殴り続けたという。2014年から財閥2世、3世による大規模な売春行為について、捜査当局の手が伸びつつあるとも言われている。

 彼らは、自らの富を蓄えるため脱法行為を厭わない。また、そうして稼いだお金で政治家や役人を黙らせ、暴挙に拍車をかけている。
財閥ファミリーの「兵役逃れ」が社会問題に
 韓国で財閥が非難される理由は、富の独占や脱法行為だけでない。その他にも、財閥ファミリーの“兵役逃れ”が問題視されているのだ。韓国KBSが報じたところによると、韓国7大財閥ファミリーの兵役回避率はなんと33%にも及ぶという。兵役免除者が最も多いのはサムスングループで、11人中8人(73%)。次いでSK(57%)、ハンジン(50%)、ロッテ(38%)、現代(28/%)、GS(25%)、LG(24%)グループの順となっている。

 朴槿恵政権で初代総理になる予定だったチョン・ウィソン氏(現代自動車の一族)は、長男の兵役が免除されていることが発覚。人事発表前に辞退する局面に追い込まれた。

「財閥や政治家ら有力者の子息が兵役を回避するのは日常茶飯事。彼らは一般国民に対しては兵役義務を口を酸っぱくして説くのに、自分たちや家族にはまるでその義務がないかのように平然とふるまう。国民や叩き上げの職業軍人の中には、彼らに不満を抱いているものも少なくない」(兵役を経験した30代の韓国人留学生)

 ちなみに、韓国では財閥と政界の区分を設けるのが難しい。有力な財閥関係者が国会議員になるケースが多く、財閥と政界は表裏一体と言える。その政界では、実に多くの国会議員が兵役を免除されており、現在の第19代・韓国国会議員だけを見ても、その割合は約21%にのぼる。

 現在、韓国社会は低成長が続いて格差が拡大しており、社会的な不公平感は高まりつつある。日本ではすでに忘れ去られようとしているナッツ・リターン事件は、韓国にとって世間知らずのお嬢様が起こした、ただのお粗末な不祥事ではない。韓国社会に深く根を下ろした不公平の象徴のような事件だったからこそ、神経質に、そして徹底的にやり玉に挙げられたのだ。

 興味深いのは、韓国メディアの“財閥叩き”が日本でも大々的に報じられた点ではないだろうか。 さまざまな要因が考えられるが、韓国同様に“持つ者”と“持たざる者”の格差が着実に広がりつつ日本の世相が、何か関係している気がしてならない。

ナッツ・リターンだけじゃない!? やりたい放題の韓国財閥ファミリーに国民ブチキレ – Infoseek ニュース
http://news.infoseek.co.jp/article/dmmnews_914039

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