小泉純一郎元首相は12日、日本記者クラブで講演し、「首相が脱原発の決断をすればできる。判断力、洞察力の問題だ。舵を切ってほしい」と、安倍晋三首相に政治決断するように迫った。
なぜ、こんなことを言い出したのか、誰にもわからない。自民党の議員も私に「まだ国民的人気が高い人なので、今のところは遠巻きで見ているしかない」と困惑気味に語っていた。
国民にとって、あるいは国家戦略として、そうすることが本当にいいのかどうかなんて、この人には「たいしたことではない」のだろう。だから、郵政民営化が骨抜きにされて再官営化するのも黙って見ていた。当時、「郵政民営化に反対するヤツはぶっ倒す」と叫んだのは、いったい何だったのだろうか。ゲーム感覚で言っていたとすれば、国民はえらい迷惑を受けたことになるし、総選挙の費用800億円も無駄になったことになる。
たしかに、この人の勘は鋭い。だが、その内容は国民から見ると正しくはない。「原発即ゼロ」と打ち出せば人気が出て政権は安定すると言っているが、電力供給が安定しなかったら、どうするのか。ドイツのように電力料金が高くなって、電気自動車ひとつ成り立たなくなったらどうするのか。
そうしたさまざまな状況の中から国民の将来のために良い選択をするのが、普通の頭を持った政治家だ。だが、小泉さんはそういう考え方が嫌いなのだ。頭にあるのは、「今、ハンドルをどちらに切るのが(政治家として)得か」ということだけ。国家を誤らせるということについては、超一流の人だと思う。
結局、久しぶりにスポットライトを浴びたら気持ちよかったんじゃないだろうか。だから、この「原発即ゼロ」の主張は、しばらくはエスカレートすると思う。
【大前研一のニュース時評】国家を誤らせることについて超一流の小泉元首相 勉強嫌いで深い洞察なし (1/2ページ) – 政治・社会 – ZAKZAK
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