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(ニュース記事)移民が女性・老人を集団暴行… 増え続ける難民とドイツの窮状とは?

移民が女性・老人を集団暴行… 増え続ける難民とドイツの窮状とは?- 記事詳細|Infoseekニュース
http://news.infoseek.co.jp/article/tocana_42357/

 先月29日、ドイツは北アフリカのアルジェリア、モロッコ、チュニジアの3国を、「安全な国」リストに追加した。これにより、この3つの国からの難民の受け入れは困難なものとなる。

 難民に寛容な姿勢をとり続けていたドイツがこのような決断をする背景には、移住者の増加による治安の悪化が無視できない規模になったことがある。人道的な配慮や、将来の労働力不足を補うことを見越して、積極的に移民や難民を受けいれてきたドイツであったが、窮地に立たされているのだ。

■次々に発生する移住者による犯罪

 移住者によって引き起こされた事件の中でも、特に注目を集めたのが昨年末のケルン大晦日集団性暴行事件だ。当時、ケルン大聖堂前の広場などには、主にアラブ人・北アフリカ人と見られる1,000人あまりの群衆が集まっていた。そこで、ドイツ人女性に対する多数の性犯罪が発生し、500件以上の被害届が出るほどの事態となった。

 この集団による暴行は、近年エジプトで発生している「Taharrush jamai」と呼ばれる現象に酷似している。「集団セクハラ」という意味を持つこの行動は、群衆が女性に群がって性的暴行を加えるという恐ろしいものだ。2011年には、エジプトの民主化運動を取材していたララ・ローガン氏が、取材活動中に広場で集団レイプされ、欧米諸国に衝撃を与えていた。

 そしてドイツでは、ケルンの事件後に当局がその事実をすぐに公表しなかったこともあり、300人の女性が抗議デモを行うなど、政府に対する国民の不信感は決定的なものとなる。賛否あった難民の受け入れについての人々の意識は変化し、難民に寛容な姿勢を示し続ける政府への批判が急激に高まった。

 さらに、追い打ちをかけるように、事件は次々と発生する。先月末、ミュンヘンの地下鉄車内で起きた老人暴行事件では、動画が撮影されていたことで人々の注目を集めた。

 移住者とみられる男たちが近くにいた女性にちょっかいを出すが、女性はそっけない態度を取る。するとひとりの男が攻撃的になり、“窓ガラスドン”をしたという。そこで、老人が仲裁に入ったところ、男は激昂。老人に掴みかかったり、それを引き離した別の老人の胸ぐらをつかんだりするなど、やりたい放題の様子が動画に収められていた。

 この動画は瞬く間にウェブ上で拡散され、移住者に対する印象をおとしめる結果となっている。

■移住してくるのは難民ではなく犯罪者?

 難民や移民が、移住先の国のルールを守らないのであれば排斥の動きが高まるのは仕方がないところだろう。しかし、当局による難民のずさんな受け入れが、このような結果を招いたという指摘もなされている。

 例えば、アルジェリアやモロッコなどの北アフリカの国は、比較的政情が安定しており、シリアのような差し迫った危険がないはずの国である。しかし、それらの国においてもともと素行の悪かったゴロツキが、ほかの国の難民たちに偽装し、ドイツ国内に侵入している可能性があるのだ。

 それを見破るすべを持たないまま、受け入れを続けてしまった代償は大きかった。彼らは入国後、ドイツ国内の犯罪組織へと加入しているとも言われており、治安を悪化させる一因となっている。先の集団レイプもそのひとつの帰結だろう。

 移住者の増加によって、治安が悪化したことを肌で感じている国民が、受け入れに対して疑問を呈するのは当然だ。中には、その思いが排斥行動として現れてしまっている国もある。

 スウェーデンでは29日、覆面をかぶった100人ほどの男たちが、ストックホルム駅で難民を襲撃するというショッキングな事件が発生した。これはその4日前に、難民受け入れ施設に勤務していた女性職員が、難民の少年に殺害されたという事件への報復とみられている。

 結局、犯罪を起こす一部の移住者の影で苦しい思いをしているのは、本当に助けを必要としている難民たちである。各国で難民政策の引き締めが厳しくなれば、安住の地を得ることができない難民が増えるだろう。

 一部の人間のせいでほかの多くが迷惑するという、どこにでもある不条理な現実だが、難民問題にあっては人々の対立を煽るものでもあり、本当に許しがたいものだ。一刻も早く、難民が生まれないような情勢になればいいが、その道筋はまだ見えてこない。

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(ニュース記事)ドイツに流入の難民、紛争終結後は大半が帰国する=メルケル首相

ドイツに流入の難民、紛争終結後は大半が帰国する=メルケル首相- 記事詳細|Infoseekニュース
http://news.infoseek.co.jp/article/01reutersJAPAN_KCN0VA1C4

[ノイブランデンブルク(ドイツ) 30日 ロイター] – ドイツのメルケル首相は30日、イラクやシリアでの紛争が終結すればドイツにいる同地域からの難民や移民の大半は帰国する、と強調した。難民に対する開放的な政策への批判を交わす狙いがあるとみられる。

首相は難民問題で孤立を深めているが、難民・移民の流入制限や国境封鎖を求める一部保守派の声に抵抗を続けている。

首相は、大半の難民や移民は限定的な期間しか滞在を認められていないと指摘。キリスト教民主同盟(CDU)の地域集会で「これは暫定的な滞在であり、シリアに平和が戻り、過激派組織「イスラム国」がイラクで駆逐されれば、(ドイツで)得た知識を携えて帰国することが求められている、と彼らに伝えていく必要がある」と述べた。

そのうえで、1990年代に旧ユーゴスラビアからドイツに逃れてきた難民の70%は帰国したと述べた。

また、「流入の数はさらに減らさなければならず、春に再び増加するといった事態は避ける必要がある」とし、他の欧州諸国に支援強化を求めた。

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(ニュース記事)「世界1幸せな国」デンマークの本性 難民の現金や貴重品を没収する法案を可決

「世界1幸せな国」デンマークの本性 難民の現金や貴重品を没収する法案を可決(木村正人) – 個人 – Yahoo!ニュース
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20160128-00053870/

17万2千円を超過した分は没収、ナチスを彷彿

デンマーク議会は26日、警察が難民申請者の所持品を検査し、現金や所持品が1万クローネ(約17万2千円)を超える場合、超過分を没収し、難民の食費や住居費に使えるようにする法案を賛成多数で可決しました。しかし、オカネを持っている難民は飛行機で移動して、ホテルに滞在しており、難民滞在施設で暮らしているわけではありません。親類宅に身を寄せている人もいます。

嫌がらせとしか思えない法案です。例外として認められるのは結婚指輪や婚約指輪、勲章、メダルといった「思い出の品」だけです。ユダヤ人らから金や貴重品を取り上げたナチスと同じだという国際的な批判を浴びて金額が3千クローネから1万クローネに引き上げられましたが、他にもさまざまな規制強化策が盛り込まれています。

居住許可の期間が5年から2年に短縮されました。難民認定者はこれまで1年で家族を祖国から呼び寄せることができましたが、期間が3年に延長されました。家族を呼び寄せる手続きにはさらに数年を要します。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルなどから欧州人権条約、国連の子どもの権利条約、難民条約に違反しているという強い懸念が示されています。

永住権取得に関してもデンマーク語の取得レベルが引き上げられました。雇用期間の条件も「過去5年のうち3年」から「過去3年のうち2年半」に厳しくされ、これまでは5年デンマークに居住していれば永住権を申請できたものを6年に延長しました。

この法案は数日中に同国女王のマルグレーテ2世が署名して法律として成立する見通しです。「難民嫌がらせ法案」には「デンマークはこんなに難民に意地悪な国なんだよ」「思いやりのかけらもない国ですよ」と世界中に知らせて、シリアやアフガニスタンから難民が来ないようにする狙いが込められています。

「極右」政党の前党首が議長

議会の採決では、ラスムセン首相率いる与党・自由党など右派政党と移民排斥を訴える右派ポピュリスト政党・デンマーク国民党、それに加えて最大野党の左派・社会民主党まで賛成に回りました。賛成81票、反対27票。棄権は1人、70人が欠席しました。社会民主党まで賛成に回ったというのは驚きです。しかし、もっと驚くことがあります。
ピア・ケアスゴー議長(デンマーク議会HPより)ピア・ケアスゴー議長(デンマーク議会HPより)
デンマーク議会の議長は「極右」と非難されることもあるデンマーク国民党の前党首ピア・ケアスゴー女史だということです。彼女は「国民の多くが心の奥底で思っていることを分かりやすい言葉ではっきり表現する」ことをモットーに移民規制の強化を求める発言を続けて議会での議席を増やし、2001年11月に発足した自由党・保守党の少数右派連立政権に閣外協力します。

デンマーク国民党の意向で、デンマークでは国民が外国人と結婚した場合、どちらも24歳以上にならないとデンマークに呼び寄せることができないという悪名高き「24歳ルール」、夫婦のデンマークへの関わりが出身国への関わりより強くなければならない「関わりルール」や保証金5万クローネ(その後、10万クローネに引き上げ)の残高証明など、移民規制が強化されました。

イスラム系移民に寛大な隣国スウェーデンの政策はいずれ破綻し、デンマークはそのトバッチリを受けるというケアスゴー前党首の主張は人気を集めます。前党首の支持者は皮肉を込めて「ピアニスト(ピアは彼女の名前)」と呼ばれています。同じ北欧の福祉国家でも、スウェーデンは「移民に最も寛容な国」と称えられるのに対し、デンマークは「移民に最も抑圧的な国」と揶揄されています。
出典:ユーロスタットのデータをもとに筆者作成出典:ユーロスタットのデータをもとに筆者作成
上の棒グラフはユーロスタット(EU統計局)のデータをもとに筆者が作成したものです。デンマークの人口は約565万人、スウェーデンは約972万人です。14年10月から15年9月にかけて新たにあった難民認定申請件数はそれぞれ1万3340件と9万4100件と大きな開きがあります。

デンマーク議会の顔であるケアスゴー議長は、フランスの国民戦線、スウェーデン民主党、フィンランドの真正フィン人党など欧州で成功している右派ポピュリスト政党のお手本になった人なのです。2015年6月の総選挙で、デンマーク国民党は15議席増の37議席を獲得して第2党になりました。議長就任はラスムセン首相に協力する見返りです。

「世界1幸せな国」

デンマークは「世界1幸せな国」という仮面を外して、イスラム系移民や難民に対して「最も冷たい国」という本性をさらけ出しました。筆者はこれまでデンマークでイスラム教徒と結婚した女性やイスラム系移民の何人かに取材したことがありますが、デンマークは1990年代までは人道主義に基づき、イスラム系移民に寛大で優しい国でした。

自転車を利用する人が多く、環境に優しい。長時間労働時間がなく、ライフバランスがとれている。腐敗がない。こうしたことからデンマークは国連の「世界幸福度」ランキングで12年と13年に世界1になっています。15年の最新報告書では順位を落としましたが、それでもスイス、アイスランドに次いで堂々の3位です。

難民申請者の財産を没収する措置は実はスイスやドイツの南部バーデン・ビュルテンベルク州とバイエルン州でも導入されているそうです。世界幸福度ランキングで1位と3位の国が難民申請者の財産を没収するとは一体どういうことなのでしょう。これが「偽善」という仮面を剥ぎとった欧州の人道主義の素顔なのだと思います。

崩壊する「移動の自由」

寛容の国スウェーデンが国境管理を強化したことで、デンマークも難民や移民に対する規制を強化しました。スウェーデンに入れなかった難民がデンマークで滞留すると困るからです。欧州連合(EU)は26日、旅券なしで自由な行き来を認めるシェンゲン協定の参加国に最長2年の期限付きで入国審査の再導入を認めるかどうか検討しました。

シェンゲン協定国の中で、スウェーデンとデンマークに加えてオーストリア、ドイツ、フランス、EUには加盟していないノルウェーがすでに6カ月の期限付きで入国審査を再導入しています。シェンゲン協定に入っていない英国でも食料の配給を希望する難民申請者に識別用のリストバンドをはめさせたり、難民申請者の家のドアを赤く塗ったりしていたことが明らかになりました。

欧州統合の理念だった「移動の自由」は事実上、崩壊しています。EU全体として中東・北アフリカ地域の平和と安定を主導し、難民を引き受ける割当制を実現、EU域外との境界管理や隣接国との協力を強化しない限り、状況の改善は見込めないでしょう。シリアだけでなく、過激派組織ISの台頭でリビアでも治安情勢が悪化しています。

スウェーデンの難民滞在施設で22歳の女性職員が15歳の難民孤児に刺殺された事件のように、きれいごとや理想では済ませられないほど状況が緊張しているのは確かです。しかし、デンマークの身勝手な政策は近隣窮乏化政策に過ぎず、EU加盟国の足並みを乱すだけでなく、イスラム社会に非常にネガティブなメッセージを送ることになります。こうした排外主義ポピュリズムが欧州を覆いだすと、問題がさらに悪化するのは必至です。

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(ニュース記事)難民の15歳少年、職員の女性を刺殺 スウェーデン

CNN.co.jp : 難民の15歳少年、職員の女性を刺殺 スウェーデン
http://www.cnn.co.jp/world/35076791.html

(CNN) スウェーデンの難民宿泊施設で25日、難民認定を申請している15歳の少年が職員を刺殺する事件があった。警察は、テロ事件ではなかったとの見方を示している。

警察は少年の身柄を拘束し、出身国も突き止めたが、身元に関する情報は公開していない。

事件はスウェーデン西部べストラ・イエータランド県イエーテボリにある18歳未満の難民認定申請者のための宿泊施設で起きた。死亡した22歳の女性職員は、同施設に滞在する少年8人に1人で対応していたという。このうち事件に直接関与した少年は1人だけだったと警察は見ているが、残る7人からも事情を聴いている。

警察は「テロではなく、事故あるいはけんかだったと思われる」と説明している。少年はそれぞれ出身国が異なるため、事情聴取には別々の通訳が必要な状況だという。

警察によれば、同地では毎月50人のペースでシリアやアフガニスタンからの難民が増えており、難民が絡む騒ぎは増加の一途にある。ただ、これまでは難民同士のけんかがほとんどで、地元のスウェーデン人が巻き込まれる事件は起きていなかった。

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(ニュース記事)ドイツの「集団性犯罪」被害届は100件超!それでもなぜメディアは沈黙し続けたのか? タブー化する「難民問題」

ドイツメディアが沈黙し続けた難民による犯罪 難民は「絶対善」の雰囲気 – ライブドアニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/11040215/

新年早々、憂鬱な話は避けたかったのだが、熟考の末、これはやはり書くべきだと判断したので、以下、お伝えしたい。

■大晦日のケルンで起きた蛮行

1月4日の夜の全国放送で、次のようなニュースが流れた。

大晦日の深夜、ケルンの中央駅周辺で、1000人以上の若い男性が暴徒と化し、大勢で若い女性を囲んでは、性的嫌がらせ、暴行、そして貴重品やスマホの強奪に及んだ。性的嫌がらせに関しては、触るなどという域は越え、スカートや下着を剥ぎ取るなど、常軌を逸した蛮行が多発したという。強姦の被害届も出ている。

ケルンは人口が約100万人で、ドイツで4番目の大都市だ。中央駅のすぐ横には、有名な大聖堂が聳え立っている。

6日の時点で被害届は100件を超えた。被害者の女性の証言では、加害者はドイツ語を話さず、アラブ、もしくは北アフリカ出身と思われる容貌の若い男性で、ほとんどが酒に酔った状態だった。しかも、婦人警官までが囲まれ、いたずらされたケースが報じられているところを見ると、暴徒のあまりの数に警察が対応しきれなかった様子が伺える。

ヨーロッパの大晦日というのは、多くの若者が街に繰り出して、カウントダウンの大騒ぎをし、零時には打ち上げ花火をあげてニューイヤーを祝う。打ち上げ花火は危険なものも多いので、ドイツでは昔から、1年のうち12月の29日、30日、31日の3日間しか販売が許可されていない。ところがこの日のケルンでは、それが駅前広場に集まっていた群衆を狙って打ち込まれ、火傷などの怪我人も出たという。

ドイツには、機会を見つけて暴れるフーリガンは常にいるが、しかし、今回の事件は規模が違う。彼らがツイッターで集合したことはわかっており、難民の男性たちが関わっているだろうと皆が思っているが、報道ではそれは伏せられ、今のところ「捜査は難航し、犯人は特定されておらず、動機もわからない」とか。

警察は、スマホで現場を撮影した人に画像の提供を呼びかけているが、6日の時点で容疑者はまだ一人も上がっていない。

■不自然な「事なかれ主義」的発表

しかし、私が絶対におかしいと思うのは、なぜ、この事件が、4日の夜になって、初めて全国報道されたのかということだ。ケルンの知人に確認したところ、2日も3日も、地元の新聞にも載らなかったという。そして4日以降、その沈黙の理由に触れた報道も、私の調べた限り一つもない。

おかしいことはまだある。たとえば第1テレビのオンライン版では、普段ならニュースの末尾に読者のコメントが掲載されるのに、この事件に限って、コメント欄が影も形もない。

さらに調べてみると、ケルニッシェ・ルントシャウという新聞のオンライン版に、1月1日にすでに事件の詳細が載っていたことがわかった。それによれば、午前1時ごろ、パニックに陥った人々が線路に逃れ、列車の運行が一時停止したという。

なのに、翌日、警察は、この夜は「広範囲にわたって平安」であったと発表したということが、かなり皮肉っぽく描かれている。

「警察の出動回数は、傷害(80回)、騒乱(76回)、器物破損(20回)で、その数は去年のレベルと同程度。消防だけが出動回数867回で、去年よりも多かった」

消防の出動はあちこちで起こった放火によるものだ。

警察の「事なかれ主義」的発表はかなり不自然だ。案の定、これらが明るみに出て以来、ケルン警察は集中砲火を浴びており、6日には署長の辞職問題にまで発展している。

■「難民」について自由に物が言えない空気

ドイツでは、2015年、難民として入ってきた人の数が110万人を突破した。一昨年は20万人。その前は17万人だ。足し算をすると大変な数になる。メルケル氏は、政治難民はすべて受け入れると宣言している。

難民のほとんどは若い男性で、職もなく、狭い宿舎に暮らし、欲求不満になっている。ただ、自由に出歩けるので、現在シュトゥットガルトでも、幾つかの場所が彼らの溜まり場になっている。4日の夜7時半ごろ所用で中央駅に行ったら、地下通路にそれらしき人たちがたくさん集まっていた。そして、驚くほど大量の警官!

ドイツ政府はこれまで、「難民は我々のチャンスである」というバラ色の見解を好んで発信してきた。メルケル首相は「我々はできる!」と難民の無制限受け入れを提唱し、国民に協力を要請。それに主要メディアが追随し、難民を助ける善良な国民の姿を常に大きく取り上げた。

一方、「このままでは大変なことになる」と、現在の難民政策に疑問を呈する人間には、非人道的、あるいは、極右という烙印が押された。「受け入れ人数の上限を設けるべき」と声を上げた政治家は、即座にポピュリストと叩かれた。最近のアンケートでは、ドイツでは一定のテーマについては自由に物が言えないと感じている国民が増えているという。

メルケル首相は大晦日恒例のスピーチで、「難民の受け入れ人数には上限を設けない」という考えを再度、強くアピールした。皮肉にもその夜、ケルンでは、「ドイツ語を話さないアラブ、もしくは北アフリカ出身の容貌の若い男性たち」が、徒党を組んで犯罪に励んでいたのだ。

緑の党は、難民申請者は全員がドイツに留まれるようにすべきという意見だ。党の代表オツデミア氏は、今回の事件に対するコメントを求められ、「犯された罪は悪しきものだが、その罪を難民に被せるのも悪しきことだ」と述べた。

■ケルンの事件は起こるべくして起きた

5日には、次々と後続の情報が出てきた。ケルンで起こったことは、実はシュトゥットガルトやハンブルクでも起こっていたらしい。

偶然だが、シュトゥットガルトの私の知人夫婦が、大晦日の夜、芝居を見に行き、食事をして、夜中に駅に向かったところ、突然、外国人の大群に遭遇し、大変怖い思いをしたという。夫人はその後、目撃したことをごく客観的に記し、ある新聞社のオンライン投稿欄に送ったが、掲載されることはなかった。それが、今ごろになって報道され始めたのである。

メルケル首相の難民政策に、最初から一貫して異議を唱えていたのが、与党連合のCSU(キリスト教社会同盟)の党首ゼーホーファー氏だ。彼はすでに去年の夏から、イスラム過激派が難民に混じり込む危険性を唱えていたが、緑の党は「被害者である難民を加害者扱いするのはけしからん」とはねのけ、SPD(ドイツ社民党)も、「イスラム過激派は別の侵入ルートを持っている」として相手にしなかった。

しかし、11月にパリで起こった無差別テロの犯人8人のうち、少なくとも2人は難民としてEUに入ったことが明らかになっている。

また、若い独身男性がこれだけ増えると、セクシャルな問題が起こるという懸念も、すでに以前から指摘されていた。

たとえば70年代、大量の貧しい出稼ぎ外国人労働者が、狭い宿舎で暮らしていたことがあった。そのころ、多くのドイツの街に新たな売春施設ができたという。需要と供給の問題だが、性犯罪を防ぐためには有効だ。ドイツでは売春は職業として認められている。

この解決法の是非は横に置いておくが、同じ状況が出来ようとしている今、犯罪学の学者の間には、現実問題として、性犯罪を警告している人たちがいたのだ。彼らに言わせれば、ケルンの事件は起こるべくして起きたのである。

ただ、これまでのドイツの報道の流れでは、難民は「絶対善」として扱われていた。だから、今回の事件の犯人が難民では、とても都合が悪い。ドイツのメディアはかなりの左派だ。ちなみに、政治記者の支持政党で一番多いのが緑の党だという。当然のことながら、今では、緑の党とメディアがメルケル首相の難民政策の支援者である。

つまり、大晦日の暴動事件がすぐに報道されなかったのは、首相府からの報道規制が掛かったからというより、今まで難民受け入れを崇高なこととして扱っていたメディアのシナリオに、それが合致しなかったからではないか。

■メルケル首相の4選に赤信号が点灯

1月3日、ゼーホーファー氏はメルケル首相の大晦日のスピーチに挑むように、「年間の難民受け入れ数は20万人を上限とすべきだ」と主張し始めた。常識的に見れば、20万人でも十分に多い。

そして興味深いことに、今回に限り、メディアはそれをやみくもに非難することを控えている。氏の警告の多くはすでに現実となっているし、多くの国は難民の受け入れ停止に踏み切った。

ドイツ国民はそろそろ疲れ果て、此の期に及んで「我々はできる!」とか「ポピュリストの罠に落ちるな」とか言われてもうんざりするばかりだ。そのうえ、何と言っても一番影響しているのが、ケルンの事件だろう。メルケル氏は次第に孤立の様相を強めている。

大量に流入した難民は、産業界に安い労働力を提供する。また、この先数年は、難民需要が公共投資の代わりとなって景気を刺激するだろう。しかし、数が数だけに、今回のように治安を脅かす事態が起こる可能性は排除できないし、スムーズな統合に失敗すれば、長期的にはドイツは脆弱化する。

去年の今頃は、2017年の総選挙でメルケル氏が4選を果たすだろうと誰もが疑わなかったが、今、それを信じている人は少ない。これでメディアがメルケル批判に回れば、ドイツの難民政策の流れはあっという間に転換するにちがいない。

ドイツの新年は、悪いニュースで幕が開いた。EU全体で見ても、楽観的要素は皆無だ。EUでは争いが絶えないし、テロの不安は世界中に拡散する。

サウジアラビアとイランの抗争も、まもなく世界を脅かす事態に発展するだろう。日本はエネルギーの多くをサウジに負っているのだから、呑気に構えている場合ではないのだが、やはり、いつも通り呑気だ。

今年も、ドイツから見た世界、またシュトゥットガルトの市井の様子を、なるべくタイムリーなエッセイとしてお届けするつもりでいる。どうぞよろしくお願いいたします。(川口マーン惠美)

(一定期間経過後に消えてしまうようなニュース記事を掲載しています。)